役員報酬を決める際に意識するべき注意点について詳しく解説

一万円 役員報酬を決めるためには、いくつかのポイントに着目しなくてはなりません。今回は具体的なポイントを5つ紹介していくので、報酬を決める際の参考にしてみてはいかがでしょうか。

同業他社のバランスを考慮する

まずは同業他社での役員報酬額がいくらなのかをリサーチしてみましょう。できれば1~2社ではなく、より多くの同業他社の情報をチェックすることによって、比較・検討が行いやすくなるでしょう。また、ここでチェックするのは、自社と同程度の規模の同業他社が望ましいです。 もし役員報酬が、同業他社よりも高すぎると、適切ではないと判断されてしまいます。場合によっては損金として認められなくなり、税金が非常に多くかかってしまう恐れもあるため、注意が必要なポイントです。 さらに、役員の中には業務にあまり関わっていない人もいます。このような人にも役員報酬を支払う場合、相場より高すぎるとより「高すぎるのではないか」と指摘されるリスクが高くなるので、バランスを見ながら検討しなければなりません。

会社の損益を見る

役員がいるからには、当然ながら相応の報酬を支払うべきです。しかし、会社の経営状況が悪化しているのにもかかわらず、高額な報酬を支払うわけにもいきません。それではかえって経営状況が悪くなる一方になり、最悪の場合は破綻してしまうことになります。 報酬額を決める場合は、これまでと前年度の経営状況を細かくチェックしたうえで、今後の長期的展望を予測してみてください。もし今後右肩上がりの業績が期待できるのであれば、それなりの報酬額を支払っても問題なさそうですが、今後も苦しい状況が続きそうな場合そうはいかないでしょう。 今後の経営状況がどうなるかを当てることは、決して誰にでもできることではありません。しかし、過去の状況と現在の状況を比較することで、今後業務が展開しそうかどうかは、ある程度予測できる場合があるのです。 もし大きな利益を得らえる自信がない場合は、高い報酬額を無理に支払う必要はないでしょう。慎重に判断しなくては役員どころか企業そのものの負担になります。

社員の給与バランスを考慮する

役員報酬という言葉を耳にすると、つい役員のことだけを考慮して、報酬額を決めてしまいがちです。しかし、まずは企業に属している社員のことも考えなくてはなりません。社員たちに給与をいくら支払っているのかをチェックし、役員への報酬とのバランスを取りましょう。 もし社員と役員それぞれに支払われる報酬額の差が大きいと、当然ながら社員から不満の声が上がります。「これだけ頑張っているのに、自分たちの給与はたったこれだけなのか」と指摘されてしまう恐れもあるため、格差による不満を生まないように考慮すべきです。 役員と社員の給与バランスは、20倍程度にまで収めるとよいでしょう。役員と社員という立場に違いがある以上、支払われる報酬額に一定の差があることは避けられないことです。しかし、あまりにも常識から逸脱した金額を設定することはやめましょう。

早めに計画を立てる

そもそも役員報酬は、事業年度開始から3か月が経過すると、金額を変更できなくなります。しかも、一度報酬額を決めてしまうと、基本的には1年間そのまま運用するルールとなっているため、特別な事情がない限りは変更不可となるのです。 報酬額を決めるうえでは、早めに計画を立てることが重要なので、まずは今後の収支内訳を明確化しましょう。明確化されていれば、ベストな報酬額を計算しやすくなり、万が一経営状況が悪くなっても、大きな負担を強いられずに済むかもしれません。 また、企業がたくさんの利益を出すと、今度は税金負担がのしかかり、資金不足を招いてしまうリスクがあります。資金不足を回避するという意味でも、正確性とスピード感を意識した、今後の計画が必要不可欠なのです。

一年間の売り上げを見る

上述したように、役員報酬は1年間変えることができません。たとえば、もし報酬額を謝って高く設定してしまっても、例外が無い限りはそのまま運用しなくてはならないため、適切な額を出せるよう計算しましょう。 まずは過去一年間の売り上げをチェックしてみてください。そのうえで、今年度考えられている利益額を算出し、報酬額を導き出します。 注意したいのは、何度か上述してきたように、報酬額は特別な事情がない限り変更できなくなるという点です。会社が思っていたよりも利益を出せていないからと言って、報酬額を下げることは難しいので、その点も考慮して計算しましょう。 基本的には過去1年間の売上推移をチェックして、今後の流れを予測すれば、自ずと明確な報酬額を計算しやすくなります。